From e8bdc893b815f8920d408d099b21c9af2bd53b56 Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: Akira Takahashi Date: Sun, 11 Aug 2024 13:38:33 +0900 Subject: [PATCH] =?UTF-8?q?1.86.0=E3=81=AE=E3=83=AA=E3=83=AA=E3=83=BC?= =?UTF-8?q?=E3=82=B9=E3=83=8E=E3=83=BC=E3=83=88=E7=BF=BB=E8=A8=B3=E3=82=92?= =?UTF-8?q?=E8=BF=BD=E5=8A=A0?= MIME-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=UTF-8 Content-Transfer-Encoding: 8bit --- document/version.md | 1 + document/version/1_86_0.md | 403 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 2 files changed, 404 insertions(+) create mode 100644 document/version/1_86_0.md diff --git a/document/version.md b/document/version.md index 1bc0106..02447cc 100644 --- a/document/version.md +++ b/document/version.md @@ -5,6 +5,7 @@ *** +- [1.86.0](version/1_86_0.md) - [1.85.0](version/1_85_0.md) - [1.84.0](version/1_84_0.md) - [1.83.0](version/1_83_0.md) diff --git a/document/version/1_86_0.md b/document/version/1_86_0.md new file mode 100644 index 0000000..5bfb7a9 --- /dev/null +++ b/document/version/1_86_0.md @@ -0,0 +1,403 @@ +# Boost 1.86.0リリースノート + +本家リリースノート: + +- +- + + +リポジトリは以下: + +- + + +リポジトリからのビルド方法は、egtraさんのブログを参照: + +- 「[Modularized Boost(GitHubへ移行したリポジトリ)を使用する](http://dev.activebasic.com/egtra/2013/12/03/620/)」 + + +## 更新ライブラリ + +- [Atomic](#atomic) +- [Beast](#beast) +- [Charconv](#charconv) +- [Cobalt](#cobalt) +- [Compat](#compat) +- [Container](#container) +- [Core](#core) +- [CRC](#crc) +- [Filesystem](#filesystem) +- [Format](#format) +- [Function](#function) +- [GIL](#gil) +- [Graph](#graph) +- [Interprocess](#interprocess) +- [Intrusive](#intrusive) +- [JSON](#json) +- [LexicalCast](#lexicalcast) +- [Leaf](#leaf) +- [Locale](#locale) +- [Log](#log) +- [Math](#math) +- [Multiprecision](#multiprecision) +- [MySQL](#mysql) +- [Odeint](#odeint) +- [Process](#process) +- [Stacktrace](#stacktrace) +- [Test](#test) +- [Unordered](#unordered) +- [UUID](#uuid) +- [Wave](#wave) +- [WinAPI](#winapi) + + +## 更新ツール + +- [BoostBook](#boostbook) +- [Build](#build) + + +## Atomic + +- 最近のOpenBSDバージョンでは`syscall(2)`のサポートが削除されたため、OpenBSDでは[`futex(2)`](https://man.openbsd.org/OpenBSD-6.2/futex.2)システムコールを使用するようになった + + +## Beast + +- API変更 + - HTTPステータスコード418「I'm a teapot」を追加した +- 修正 + - `read_size_hint_db()`での縮小変換を修正 + - デフォルトの完了トークンを使用する際にあいまいになるオーバーロードを修正 + - `http::basic_fields`のムーブ代入演算子における誤配置された`static_assert`を修正 + - WebSocketの部分的な書き込み操作での`bytes_transferred`のアンダーフローを修正 + - `websocket::stream::read_size_hint()`が`read_message_max`を超えないようにした + - テストにおける様々な警告を修正 + - 例におけるSSLシャットダウン操作のエラー処理を修正 + - zlibにおけるフォールスルーケースの注釈付け + - `basic_stream::ops::transfer_op`での期限切れタイマーの処理を修正 + - `test::basic_stream`コンストラクタオーバーロードのあいまいさを修正 + - `http::parser`での最終チャンクの部分的な解析を修正 +- 改善 + - `server_flex_awaitable`例での上品なシャットダウン + - awaitableの例を簡略化 + - fuzzingターゲットを追加 + - 一部の例での不要な`std::bind`の使用を削除 + - `ssl_stream`が`flat_stream`を使用しないようにした +- ドキュメント + - `ssl_stream`と`flat_stream`を非推奨としてマーク + - スニペットと例で`net::ssl::stream`を正規 (canonical) であるとした + - 「SSL/TLSシャットダウン手順 (SSL/TLS Shutdown Procedure)」セクションを追加 +- 謝辞 + - tyler92, Ruslan Zakirov, Orgad Shaneh, Alexander Kernozhitsky + + +## Charconv + +- PPC64LEアーキテクチャのサポートを修正 +- Alpine linuxのような、``ヘッダは提供するがコンパイル済みライブラリは提供しないプラットフォームのサポートを修正 +- 整数型の`from_chars`での最初の文字パターンマッチングを修正 +- 10より大きい基数の整数のオーバーフロー検出を修正 +- `std::float16_t`と`std::bfloat16_t`の変換形式を使用する代わりにネイティブサポートを追加 + + +## Cobalt + +- `asio::cancel_after`のサポートを追加 +- asioのデフォルトトークンである`asio::deferred`を`co_await`可能にした +- `noop`ユーティリティを追加 +- スタックフルコルーチン/ファイバーの実験的サポートを追加 +- チャネルとコルーチン型の移動可能性を修正 + + +## Compat + +- `bind_front.hpp`、`bind_back.hpp`、`invoke.hpp`、`mem_fn.hpp`、`integer_sequence.hpp`、`type_traits.hpp`を追加 +- `function_ref.hpp`を追加 + + +## Container + +- 以下のバグ/問題を修正: + - [GitHub #285: "devector<>::push_front` が`clear()`後にアサート失敗する"](https://github.com/boostorg/container/issues/285) + - [GitHub #280: "いくつかのコンテナが、ムーブ代入時にムーブ不可能な型をサポートしていない"](https://github.com/boostorg/container/issues/280) + - [GitHub #279: "`small_vector`がスタック空間の使用に戻れない"](https://github.com/boostorg/container/issues/279) + - [GitHub #277: "boost::static_assertへの依存を削除"](https://github.com/boostorg/container/issues/277) + - [GitHub #275: "カスタムキー比較を使用するとコンパイルに失敗する"](https://github.com/boostorg/container/issues/275) + - [GitHub #273: "`flat_map`/`vector`が追加時にクラッシュする(メモリ破壊)"](https://github.com/boostorg/container/issues/273) + - [GitHub #269: "`flat_multimap::emplace`がGCCで要素をソートしない"](https://github.com/boostorg/container/issues/269) + - [GitHub #266: "32ビットで`small_vector`がスタック上で誤整列している"](https://github.com/boostorg/container/issues/266) + - [GitHub #259: "グローバル変数"](https://github.com/boostorg/container/issues/259) + - [GitHub #245: "`flat_tree::insert` ordered rangeがソートを主張しない"](https://github.com/boostorg/container/issues/245) + - [GitHub #241: "`flat_map`は`std::map`と同じインターフェースをサポートすべき"](https://github.com/boostorg/container/issues/241) + + +## Core + +- ポインタが指定された範囲内にあるかをチェックする`pointer_in_range`関数テンプレートを含む`boost/core/pointer_in_range.hpp`ヘッダを追加した +- [GitHub #172](https://github.com/boostorg/core/issues/172) 抽象クラスの`type_name`を修正した +- [GitHub #173](https://github.com/boostorg/core/issues/173) ネイティブ`wchar_t`型が無効化されたMSVCでの`boost/core/type_name.hpp`のコンパイルエラーを修正した +- [GitHub PR #175](https://github.com/boostorg/core/pull/175) ネストされたクラスで`empty_value`を使用した際にコンパイルエラーを引き起こすMSVCの[バグ](https://developercommunity.visualstudio.com/t/Compiler-bug:-Incorrect-C2247-and-C2248/10690025)に対する回避策を追加した + + +## CRC + +- C++03のサポートを終了。C++11コンパイラが必要となる (これにはGCC 4.6以降、MSVC 10.0 (VS 2010)以降が含まれる) +- Array、Config、Integer、TypeTraitsへの依存関係を削除した。このライブラリは現在スタンドアロンである + + +## Filesystem + +- `is_empty`操作が、同時に行われるファイルシステムの変更からより良く保護されるようになった +- POSIXシステムで、通常ファイルやディレクトリ以外のファイルに対して`is_empty`を呼び出した場合、エラーを示すようになった +- [GitHub #313](https://github.com/boostorg/filesystem/issues/313) Windowsで、シンボリックリンクではなくシンボリックリンクが参照するファイルに対して動作する`file_size`と`is_empty`を修正した +- [GitHub #314](https://github.com/boostorg/filesystem/issues/314) `directory_entry::refresh`は、エントリが参照するファイルが存在しない場合に例外を投げなくなった。これにより`directory_entry::status`と`directory_entry::symlink_status`、およびそれらに基づくメンバ関数が、同等のスタンドアロン操作と同様に振る舞うようになった。ファイルが存在しないという事実は、対応する`directory_entry::refresh`オーバーロードが返す`error_code`を通じて、あるいは`directory_entry::status`または`directory_entry::symlink_status`呼び出しが返すファイルタイプが`file_type::file_not_found`であるかをテストすることで確認できる +- 入力パスが相対パスの場合に、`weakly_canonical`が呼び出しで指定されたベースパスではなく現在のパスに対してパス要素の存在をテストする問題を修正した +- [GitHub #311](https://github.com/boostorg/filesystem/issues/311) Windowsで、入力パスが`".."`で始まる場合に`weakly_canonical`が不正な結果パスを生成する問題を修正した + + +## Format +- C++03のサポートを終了。C++11コンパイラが必要となる (これにはGCC 4.7以降、MSVC 12.0 (VS 2013)以降が含まれる) + + +## Function + +- Boost.TypeTraitsへの依存を削除した +- 1.85で誤って削除した`argN_type`型定義を復活させた + + +## GIL + +- 追加 + - [GitHub PR #747](https://github.com/boostorg/gil/pull/747) `istream_device`と`ostream_device`クラスに`tell()`と`error()`関数を追加しました +- 変更 + - [GitHub PR #726](https://github.com/boostorg/gil/pull/726) `color_converted_view`関数でカスタムカラーコンバータを無視しないようにした + - [GitHub PR #745](https://github.com/boostorg/gil/pull/745) WinAPIの`min()`と`max()`マクロとの競合に対する回避策を追加した + - [GitHub PR #743](https://github.com/boostorg/gil/pull/743) GILでの`boost::filesystem`の使用が、CMakeオプション`BOOST_GIL_USE_BOOST_FILESYSTEM`で設定可能になりました +- 修正 + - [GitHub PR #723](https://github.com/boostorg/gil/pull/723) `convolve_2d`での畳み込みを修正した + - [GitHub PR #725](https://github.com/boostorg/gil/pull/725) 暗くなるのを避けるためにガウシアン2Dカーネルを正規化した + - [GitHub PR #746](https://github.com/boostorg/gil/pull/746) `std::wstring`パスのパス文字列変換関数でのバッファサイズの誤りを修正し、`std::wstring`パスを使用するI/O関連関数でのバッファオーバーフローを回避した +- 謝辞 + - Christoph Gringmuth, Christopher Kormanyos, nicolacandussi, Dirk Stolle, Olzhas Zhumabek + + +## Graph + +- メジャーアップデート: C++14が新しい最小標準となった。これは(少なくともC++11への)依存関係によって決定された部分もあるし、選択による部分もある。古い標準のサポートが必要な場合は、メンテナーに連絡してほしい +- Boost.Regexへの直接的な依存を削除した +- 共通ヘッダを明示的にインクルードしていないことによる複数のコンパイルエラーを修正した +- `isomorphism`: ドキュメントを修正し、`vertex_max_invariant`パラメータを無視して上限を安価に計算するようにし、Associative Property Mapのバグを修正し、最大不変量のサイズに対する線形から g1 のサイズに対する線形に空間効率を改善した +- `boykov_kolmogorov_max_flow`: 名前付きパラメータのオーバーロードを修正した +- `adj_list_edge_iterator`: 初期化されていない可能性のある警告を修正した +- `hawick_circuits`: 探索の深さを任意に制限するパラメータを追加し、潜在的に最適でない答えを早期に返すようにした +- `disjoint_sets`: セット代表の冗長な検索を削除することで、`link_sets`のパフォーマンスを改善した +- `maximum_adjacency_search`: リファクタリングとより多くのテストを行った +- `property`: `BOOST_ATTRIBUTE_NO_UNIQUE_ADDRESS`を使用して無駄なスペースを削除した +- `labeled_graph`: ラベルも実際に削除するように`remove_labeled_vertex`を修正した +- `r_c_shortest_paths`: 単一解のバリアントが常に最短パスを返さないバグを修正した +- `read_graphviz`: スタックオーバーフロー(oss-fuzz issue 66719)と非キーワードサブグラフの解析を修正した +- その他多数の改善: リンク切れ、typoの修正など + + +## Interprocess + +- 以下のバグを修正した: + - [GitHub #191 ("`vectorstream`: `INT_MAX`より大きいファイルサイズをサポート")](https://github.com/boostorg/interprocess/pull/191) + - [GitHub #198 ("`offset_ptr`のドキュメントの軽微な修正")](https://github.com/boostorg/interprocess/pull/198) + - [GitHub #202 ("`message_queue`を匿名メモリにマップすることを許可")](https://github.com/boostorg/interprocess/pull/202) + - [GitHub #207 ("cmake: システムライブラリをリンク")](https://github.com/boostorg/interprocess/pull/207) + - [GitHub #214 ("Doc: GitHubリンクを修正")](https://github.com/boostorg/interprocess/pull/214) + + +## Intrusive + +- [GitHub #86](https://github.com/boostorg/intrusive/issues/86) コメント内の無効なUTF-8文字のバグを修正した + + +## JSON + +- GCC 5.0未満のサポートは非推奨となり、Boost 1.88.0でサポート終了する +- 例外を投げるアクセサ関数に`source_location`パラメータが追加された +- 無効なUTF-16サロゲートペアを許容し、[WTF-8](https://simonsapin.github.io/wtf-8/)を生成するパースオプションを追加した +- `system::result`を返すアクセサ関数を追加した +- 直接パースにおける欠落したエラーケースを処理するようになった + + +## LexicalCast + +- 1つ以上の`\0`文字を含む`std::basic_string_view`と`boost::basic_string_view`の変換を修正した。この問題は1.85.0で導入された + + +## Leaf + +- `verbose_diagnostic_info`の実装を最適化した +- バグ修正 +- `class result<>`に`[[nodiscard]]`を追加した + + +## Locale + +- `conv::utf_to_utf`でカスタムアロケータのサポートを追加した +- デフォルトでは例をビルドしないようにした + + +## Log + +- [GitHub #231](https://github.com/boostorg/log/pull/231) MinGW-w64でCMakeを使用してイベントログリソースファイルをコンパイルする際の`windres.exe`の問題に対する回避策を追加した + + +## Math + +- [GitHub #1143](https://github.com/boostorg/math/issues/1143) 無限大でのベッセル関数の結果を修正した +- 非中心T分布の数値的安定性を改善した。[scipy20693](https://github.com/scipy/scipy/issues/20693)を参照 +- 無限大での`float_next`/`float_prior`の動作を修正した +- 非中心ベータ分布での不要なアンダーフローを防止した。[scipy20693](https://github.com/scipy/scipy/issues/20693)を参照 +- Heuman Lambdaの精度を改善した +- [GitHub #1120](https://github.com/boostorg/math/issues/1120) 歪正規分布の根の発見を改善した +- 多くの軽微な修正とコードカバレッジの改善を行った + + +## Multiprecision + +- [GitHub #618](https://github.com/boostorg/multiprecision/pull/618) 超大きな数値で`eval_convert_to()`が終了しないようにした +- `sinc`の実装をBoost.Mathの動作に合わせて修正した +- cpp_intの剰余演算でのゼロ除算を修正した +- [GitHub #626](https://github.com/boostorg/multiprecision/issues/626) 128ビットを超える整数のアンダーフロー動作の一貫性を修正した + + +## MySQL + +- 長い間非推奨だった関数`query`、`start_query`、`execute_statement`、`start_statement_execution`(および非同期版)を削除した +- 実験的APIへの破壊的変更: + - `identifier`クラス(クライアント側SQLフォーマット)が削除された。代わりに新しいフォーマット指定子機能を使用すること + - カスタムフォーマッタに必要なインターフェースが、新しいフォーマット指定子APIに対応するよう変更された + - `any_connection::async_connect`は、その`connect_params`引数が操作完了まで保持されることを要求するようになった`const connect_params*`を取るオーバーロードは削除された + - MySQLの文字セット名にNULL文字を含めることができないため、`character_set::name`は`string_view`ではなく`const char*`になった + - `any_connection`の内部バッファは64MBに制限されるようになった。それ以上の大きな行の読み書きが必要な場合は、`any_connection_params::max_buffer_size`を増やすこと。`connection`とそのヘルパー型定義は制限されない + - `any_connection_params::initial_read_buffer_size`を`initial_buffer_size`に名前変更した + - `pool_params::initial_read_buffer_size`を`initial_buffer_size`に名前変更した +- 新しい実験的API: pipelines。パイプラインは複数のリクエストを1つのネットワークパケットにまとめることで効率を向上させることがでる。パイプラインはテキストクエリの実行、ステートメントの準備、実行、クローズ、セッション状態のリセット、接続の文字セットの設定に使用できる +- クライアント側SQLフォーマットが範囲をそのままサポートするようになった。新しい`sequence`関数を使用してフォーマットをさらにカスタマイズできます。バッチ挿入やバッチ検索などのユースケースがこの機能を使用して大幅に簡素化できる +- クライアント側SQLフォーマットが値のフォーマット方法を変更するフォーマット指定子をサポートするようになった。`{:i}`は文字列を動的SQLの識別子としてフォーマットし、`{:r}`はエスケープされていない生の出力を行う +- 静的インターフェース(`static_results`と`static_execution_state`)がBoost.Pfr型を`pfr_by_name`と`pfr_by_position`を使用してサポートするようになった。そのような型をサポートするために`underlying_row_t`を追加した +- `date`と`datetime`がC++20の`std::chrono::local_time`から構築され、変換できるようになった +- 接続の内部バッファに制限を設定できる`any_connection_params::max_buffer_size`を追加した +- 致命的(接続を閉じて再開する必要がある)エラーコードと非致命的エラーコードを区別できる`is_fatal_error`を追加した +- `Formattable`コンセプトを満たす任意の型を参照できる型消去された参照型`formattable_ref`を追加した +- 異なる翻訳単位で`asio::coroutine`を使用する他のコードと一緒にBoost.MySQLを使用した際にリリースビルドでクラッシュを引き起こす可能性があったMSVCでのODR違反を修正した + + +## Odeint + + - [GitHub #82](https://github.com/boostorg/odeint/issues/82) 依存関係を減らすためのCMakeオプション`BOOST_NUMERIC_ODEINT_NO_ADAPTORS`を追加した + - MPIのCMake検出を修正した + + +## Process + +- 古いboost.processをv1サブフォルダとインラインネームスペースに移動した。`process/*.hpp` v1ヘッダを非推奨にした +- v2をコンパイルライブラリに変更した +- alpine linux / muslでの使用を修正した + + +## Stacktrace + +- [GitHub #159](https://github.com/boostorg/stacktrace/pull/159) Windows用の任意の例外からスタックトレースを生成する機能を大きく追加した`std::stacktrace::from_current_exception()`がWindows プラットフォームで動作するようになった。実装に貢献してくれた[huangqinjin](https://github.com/huangqinjin)氏に大変感謝する + - 現在、POSIXとWindowsの両方で、`from_current_exception()`関数は例外がスローされた時点でのスタックトレースがキャプチャされたかのように、現在の例外オブジェクトのスタックトレースを返す +- [GitHub #157](https://github.com/boostorg/stacktrace/pull/157) めったに使用されないWindows SDKヘッダの包含を修正した。これによりWindows SDKを使用する他のコードとの競合が発生する可能性があった。この問題を修正してくれた[Marat Abrarov](https://github.com/mabrarov)氏に感謝 +- [GitHub #166](https://github.com/boostorg/stacktrace/pull/166) ビルドオプション`boost.stacktrace.from_exception`がMacOSで正しく動作するようになった。修正してくれた[Peter Dimov](https://github.com/pdimov)氏に感謝 +- [GitHub #164](https://github.com/boostorg/stacktrace/issues/164) アサート式のtypoを修正しました。バグ報告をしてくれた[Kilian Henneberger](https://github.com/Ukilele)氏に感謝 +- [GitHub #141](https://github.com/boostorg/stacktrace/issues/141) シャドウイング警告を修正。バグ報告をしてくれた[Nigel Stewart](https://github.com/nigels-com)氏に感謝 +- [GitHub #114](https://github.com/boostorg/stacktrace/pull/114) AIX用の`dladdr`の最小限のサポートを追加。実装に貢献してくれたClément Chigot氏に大変感謝する +- [GitHub #167](https://github.com/boostorg/stacktrace/pull/167) プラットフォーム上で最もサポートされているBoost.Stacktraceの実装を参照するCMakeエイリアス`Boost::stacktrace`を追加した。この機能を提供してくれた[Alex](https://github.com/leha-bot)氏に感謝 +- CMakeの大幅な改善: 多数の修正、多くの新しいテストの追加、CIの改善。。すべての改善に貢献してくれた[Peter Dimov](https://github.com/pdimov)氏に大変感謝する +- [GitHub #72](https://github.com/boostorg/stacktrace/issues/72) プロセスが`PATH`経由で検索される場合のaddr2lineの動作を修正た。バグ報告をしてくれた[Schreischildkroete](https://github.com/Schreischildkroete)氏と修正してくれた[Jens Richter](https://github.com/j-jr-richter)氏に感謝 + + +## Test + +- コンフィグレーションステップでの`-Wundef`を修正した +- MSVCでの到達不能な`return`のコンパイルエラーを修正した + + +## Unordered + +- ``ヘッダが利用可能な場合に、コンテナの`pmr`エイリアスを追加した。エイリアス`boost::unordered::pmr::[container]`は、`std::pmr::polymorphic_allocator`アロケータ型を持つ`boost::unordered::[container]`を参照する +- オープンアドレッシングと並行コンテナが、ハッシュ関数の品質に影響される統計的メトリクスを内部で計算して提供するようになった。この機能はグローバルマクロ`BOOST_UNORDERED_ENABLE_STATS`で有効化される +- アバランチングハッシュ関数は、埋め込まれた`value`定数が`true`に設定された`is_avalanching`型定義でマークする必要がある(通常、`is_avalanching`を`std::true_type`として定義する)。`using is_avalanching = void`は後方互換性のために許可されているが、非推奨である +- コンテナとイテレータのVisual Studio Natvisフレームワークのカスタムビジュアライゼーションを追加した。これは生ポインタを使用するアロケータを持つすべてのコンテナで動作する。このリリースでは、アロケータがファンシーポインタを使用する場合、コンテナとイテレータはサポートされない。これは後のリリースで対応される可能性がある + + +## UUID + +- メジャーアップデート +- C++03のサポートを終了。C++11コンパイラが必要となる (これにはGCC 4.8以降、MSVC 14.0 (VS 2015)以降、MinGW-w64が含まれる) +- Boostの依存関係の数を39(合計)からわずか5に減らした +- 新しい[RFC 9562](https://datatracker.ietf.org/doc/rfc9562/)を反映するように更新した +- 時間ベースのUUID生成器を追加した +- その他の多く改善があります。[変更履歴](https://www.boost.org/doc/libs/1_85_0/libs/uuid/doc/html/uuid.html#changes)を参照 + + +## Wave + +- vsprintfの1つの使用をより安全なvsnprintfに置き換えた +- バグ修正: + - [GitHub #197](https://github.com/boostorg/wave/issues/197): 不適切な符号付きオーバーフロー処理(未定義動作と欠落した除算チェック)を修正 + + +## WinAPI + +- `BOOST_USE_WINAPI_VERSION` CMakeオプションを追加した。これにより、ユーザーはBoostがターゲットとするWindowsのバージョンを指定できる + + +## BoostBook + +- DTDを更新: `constructor`、`copy-assignment`、`destructor`要素が`method-group`要素内で許可されるようになった +- Doxygen生成ドキュメントに多くの修正と改善: + - Doxygen生成の列挙型値初期化子での重複等号を修正した + - 関数引数のアルファベット順ソートを無効にした。新しい`boost.sort.params`XSLパラメータを1に設定することで、ソートを再度有効にできる + - カスタムクラスメンバーのグループ化のサポートを追加した。Doxygenタグ`@name`と`@{`/`@}`を参照 + - クラス、メソッド、列挙型、変数などへのDoxygenリファレンスのサポートを追加した(`@ref`タグを参照) + - `@remark`と`@important`タグのサポートを追加した + - `@parblock`タグのサポートを追加した。これは単一の段落を引数として期待するタグ(例:`@returns`)の下に複数の段落を配置するのに使用できる + - 実装の詳細を参照するテンプレートパラメータのデフォルトが、関数パラメータのデフォルトと同様に隠蔽されるようになった + - 名前のない列挙型の表示を改善した。`@0`のような合成名を表示する代わりに、名前は省略されるか、列挙型ドキュメントへのリンクを導入するために必要な場合は`[unnamed]`になる + - "See Also"(`@sa`)ブロックを"Returns"と同様にインラインで表示するように変更した + - 複数の例外仕様(`@throws`)の表示を修正した + - 投げる動作の自由形式の説明のサポートを追加しました。`@throws`タグの後の例外タイプが`"~"`の場合、例外型は出力から省略され、以下の説明が"Throws"セクションに直接表示される + - 戻り値の型とテンプレートパラメータの冗長なスペースを削除した + + +## Build + +- [B2バージョン5.2.1](https://www.boost.org/doc/libs/release/tools/build/doc/html/index.html#b2.history) + + +## テスト済みコンパイラ +主要なテストコンパイラ: + +- Linux: + - Clang, C++03: 3.4, 3.5, 3.6, 3.7, 3.8, 3.9, 12.0.0, 13.0.0, 14.0.0, 15.0.0 + - Clang, C++11: 3.4, 11.0.0, 13.0.0, 14.0.0, 15.0.0 + - Clang, C++14: 3.5, 3.6, 3.7, 3.8, 3.9, 4.0, 5.0, 12.0.0, 13.0.0, 14.0.0, 15.0.0 + - Clang, C++17: 6.0.1, 7.0.0, 8.0.0, 9.0.0, 10.0.0, 11.0.0, 12.0.0, 13.0.0, 14.0.0, 15.0.0 + - Clang, C++20: 11.0.0, 12.0.0, 13.0.0, 14.0.0, 15.0.0 + - GCC, C++03: 4.6.3, 11, 12 + - GCC, C++11: 4.7.3, 4.8.5, 11, 12 + - GCC, C++14: 5.4.0, 6.4.0, 7.3.0, 8.0.1, 9.1.0, 11, 12 + - GCC, C++17: 7.3.0, 8.0.1, 9.1.0, 11, 12 + - GCC, C++20: 8.0.1, 9.1.0, 10, 11, 12 +- OS X: + - Apple Clang, C++03: 11.0.3 + - Apple Clang, C++11: 11.0.3 + - Apple Clang, C++14: 11.0.3 + - Apple Clang, C++17: 11.0.3 + - Apple Clang, C++20: 11.0.3 +- Windows: + - Visual C++: 10.0, 11.0, 12.0, 14.0, 14.1, 14.2, 14.3 + + +## 翻訳 +[Akira Takahashi](https://github.com/faithandbrave) +