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コミュニケーション(2時間)

単元: 社会と情報「コミュニケーション 1.コミュニケーション」(p.28-29)

本時の位置づけ

コミュニケーションは人間生活の中心を占めると同時に、社会の構成と維持に不可欠な行為であり、「社会と情報」で扱うべき中心的な概念である。 社会のグローバル化や機能的分化が進んだことで、多様で異質な他者と対話する機会が増加し、コミュニケーション能力がますます重要になっている。 一方でコミュニケーションに起因するトラブルも増加し、対人関係の困難さや失言、「炎上」などが社会的な問題となっている。 こうした問題は、コミュニケーションが主観的な行為であることや、コミュニケーション過程への不十分な理解が原因と考えられる。 本時では、コミュニケーションモデルの理解を通じて、相手と円滑にコミュニケーションする方法について考察させる。

教材観

本時ではコミュニケーションモデルとして、社会学者ルーマンによる3層モデルを扱う。 このモデルは、コミュニケーションを(生命)情報の選択、表現の選択、理解の選択の3層と、理解の受容に関する選択の4つの選択からなるとし、コミュニケーションの主観性を説明できる。 また、これらの選択行為を適切に行うよう意識することで、コミュニケーションが失敗する可能性を低減できる。

生徒観

生徒は西京高校に入学してすぐグループワークを含む学習合宿に参加するなど、他者と交流する機会が多く、コミュニケーションにも関心が高い。 しかし、メール課題の文面などからは、相手にとって読みやすい・興味を持てる文面になっていないなど、円滑にコミュニケーションを図るために必要な配慮や工夫への理解が十分でない様子も伺える。

指導観

以上より本時では、生徒のコミュニケーションに対する理解を深め、伝えたいことをより円滑に伝達できるようになることを目的とする。 その際、生徒がより身近な例で理解を深められるよう、生徒の身近な例を考えさせたり、漫才の動画を用いたりして、日常のコミュニケーションを振り返ることができるようにする。

本時の目標

  • コミュニケーションでは適切に情報を選択することと、相手が理解しやすい表現を選択することに留意することを理解する。
  • コミュニケーションは主観的な行為のため、たとえ十分に配慮した表現を行っても、相手が行う選択する理解によっては誤解される可能性のあることを理解する。

指導計画

1時限目

sequenceDiagram
	participant T
	participant S
	participant PC

Note left of T: 導入(10分)
	S->>PC: タブレットの準備作業を行う
	PC-->>T: 起動が完了する
	T->>S: 本時の目標を伝える
	S-->>T: 本時の目標を理解する
	T->>S: 「I love you.」を「月が綺麗ですね」と訳したエピソードを紹介し、多様な表現が可能なことを印象づける

Note left of T: 展開(15分)
	S->>S: コミュニケーションが上手く行かない場合を思い出し、その原因を考える
	T->>S: コミュニケーションが4つの選択からなるとした、Luhmannのモデルを説明する
	T->>S: 1つ目の選択として、生命情報を選択することを説明する
	Note right of S: 言語に依らない非言語的なコミュニケーションが存在することも説明する

Note left of T: 展開(10分)
	T->>S: 2つ目の選択として、表現を選択することを説明する
	S-->>T: 表現の選択(デザイン)は、情報に意図を加えることでなされると理解する

Note left of T: 展開(15分)
	S-->>T: 電動車いす使用者の例を通じて、自分の意図が伝わり、相手に次の展開を予期させる表現を選ぶことの重要さを理解する
	S->>S: 「自分の行動を周囲に予測してもらうために、自分がしていること」を考える
	T->>S: 思いつかなかった生徒の参考になるよう、生徒が実践していることを共有する
	Note right of S: 表現と理解の選択の間でメディアが必要なことは、次時に扱う
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2時限目

sequenceDiagram
	participant T
	participant S
	participant PC

Note left of T: 展開(20分)
	T->>S: 3つ目の選択として、理解を選択することを説明する
	S->>T: 「理解」するとはどういうことかを考える
	S-->>T: 理解は、表現から情報を除いて意図を把握できるときのみ可能だと理解する
	S-->>T: 相手は主観で理解するため、相手の理解と自分の選択した情報は異なりうると理解する

Note left of T: 展開(10分)
	T->>S: 4つ目の選択として、理解の受容または拒否を選択することを説明する
	S-->>T: この選択の結果、次のコミュニケーションで選択される情報が変わることを理解する

Note left of T: 展開(10分)
	T->>S: 表現の選び方と理解の選び方の組み合わせにより、コミュニケーションの継続の仕方が多様に変化することを説明する
	S-->>T: コミュニケーションではお互いに主観的に選択を重ねるため、正しく伝わらないことがあることを理解する
	T->>S: コミュニケーションが失敗する場合には、4つの選択のいずれかで失敗している可能性があると伝える
	Note right of S: Luhmannのモデルは完全とは限らないので、生徒が失敗例を無理にこのモデルに当てはめないよう注意する

Note left of T: 総括(10分)
	T->>S: 本時で扱った4つの選択を復習する
	T->>S: 4つの選択のみに基づき、媒介するものがない状態でコミュニケーションを試行させる
	S-->>T: 実演を通じて、本時の内容だけでは媒介となるものが存在しないため、コミュニケーションできないことを理解する
	T->>S: 次時は、コミュニケーションを支えるメディアを扱うと予告する
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