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デザイン(2時間)

単元: 社会と情報「」(p.-)

本時の位置づけ

UI/UXという語が流行するなど、単に美的・芸術的装飾ではなく、多様な大衆に受け入れられる本質的・普遍的なデザインの重要性が近年特に叫ばれている。 また、SNSやプレゼンテーションを通じて個人が情報を発信する機会が飛躍的に増加しており、デザインは誰もが行う身近なものになっている。 生徒によるプレゼンテーションの実践に続いて行われる本時は、自分たちが行ったデザインを思い返しながら、よりよいデザインについて考える契機とする。

教材観

本時では「デザインとは何か」を考えるにあたり、まずdesignとartの比較により、デザインの本質がものを介した意思伝達であることを伝える。 次に、デザインが感覚によってでなく、論理的に必然的に決定されるものだと伝えるため、ものの機能が形を決定する(Form follows function)という建築家ルイス・サリヴァンの言葉を取り上げる。 その上で、デザインを決定する論理が人間の認知・学習・行動に基づくことを伝えるため、学習障害や色覚異常、ASDといった特性を持つ人々の事例を取り上げる。 こうした人々が直面する「問題のある」デザイン(BadUI)と、その改善例(UD)を複数取り上げることを通じて、ある特性をもつ人だけでなく、すべての人が使いやすいユニバーサルデザインの重要さを伝える。

生徒観

西京高校の情報科では後期にプレゼンテーション活動を行っており、スライドや発表のデザインを実践したことを通じて、情報を伝えるために適切なデザインが重要だと認識している生徒が多い。 しかし、発表は主に文化的背景や学力の近い同級生を聴衆として行うため、多様な人々が暮らす社会の中で必要なデザインを学ぶ機会としては十分でない。 また主観・経験に基づくデザインが多く、一般の大衆に向けたデザインで注意すべき事項について、体系的に理解しているとはいえない。

指導観

以上より本時では、社会に生きる人々の文化的・身体的な多様性に着目しながら、誰もが普遍的に使いやすいデザインとは何であるかを伝えていく。 その際、「デザインは「障害者」や「特殊な人々」のためにするもの」「デザインは特殊な職業の人がするもの」といった狭い認識を生徒が持つことのないよう留意する。 更に宿題として、身の回りの「問題のある」デザイン(BadUI)の発見・改善を課すことを通して、日常生活の中で出会うデザインを批判的に捉える態度と、デザインを改善案を提案する能力を育てる。

本時の目標

  • 社会には多様な人間がいることを理解し、他者が知覚する情報は自分が知覚した情報とは著しく異なる可能性があると認識すること。
  • デザインは、対象とするモノにのみ向き合って感覚的に決めるものではなく、モノを使う相手を意識して論理的に決めるものだと理解すること。
  • 多様なユーザの利用を想定したデザインを行うことの重要性を理解し、既存のデザインを改善する方策を論理的に提案できるようになること。

指導計画

1時限目

sequenceDiagram
	participant T
	participant S
	participant PC

Note left of T: 導入(5分)
	T->>S: スライドや建築などの特殊なデザインから、SNSへの投稿等の日常のデザインへ敷衍する。
	S-->>T: デザインが特殊な人が、もしくは特殊なときに行われるものではなく、誰もが日々行っていることだと理解する。
	S->>PC: タブレットの準備作業を行う。
	Note right of S: タブレットの準備状況に配慮する。

Note left of T: 展開(25分)
	T->>S: blogの記事を引いてデザインとアートの違いを説明する。
	S-->>T: デザインは「相手」に「理解される必要がある」ものだと理解する。

	T->>S: ルイス・サリヴァンの言葉「Form Follows Function」から、デザインは論理的に決まるものだと伝える。
	T->>S: BABYMETALの楽曲「メギツネ」のPVを再生しながら、細かい演出の一つ一つにまで意味が透徹されることの重要さを伝える。
	S-->>T: デザインを使う人間を理解すれば、誰でも良いデザインが作れることを理解する。
	Note right of S: 生徒のタイピング速度に留意する。

Note left of T: 展開(20分)
	T->>S: 学習障害の筆算における事例を通じて、affordanceを知るための手がかりが重要だと伝える。
	S-->>T: 東大ノートなどの事例を通じて、ノートの罫線のように適切なヒントを与えれば、特性があっても困難を最小限にできること、特性がある人だけでなく、多くの人が嬉しいデザインとなることを認識する。
	Note right of S: 「特殊な人のためにデザインする」のだという認識を生徒に与えないよう留意する。
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2時限目

sequenceDiagram
	participant T
	participant S
	participant PC

Note left of T: 展開(20分)
	T->>S: 時刻表を用いた色覚異常の事例の説明を通じて、対応関係が認識できないことの不便さを伝える。
	S-->>T: 「色」という身近で多用する表現が、人によって異なる見え方をすることを認識する。
	Note right of S: 色覚異常の生徒がいる(特に本人も気づいていない)可能性があるので、色名を伝えながら話すなど十分に配慮する。

Note left of T: 展開(25分)
	T->>S: ASDの事例や「郵便受けを見てくる」という指示の複雑さの説明により、一貫した伝え方や制約を明瞭に伝えることが重要だと伝える。
	S-->>T: ASDの人の思考が「訳の分からない」ものではなく、非常に論理的なものだと知ることを通じて、日常生活の中に曖昧で不明瞭な指示が多いことを認識する。
	Note right of S: 授業者や生徒がASDへの偏見を助長する表現をしないよう留意し、もし不適切な表現があればすぐに改める。

	S-->>T: 自分の独創的なデザインだけでなく、慣習に合わせたデザインを行うことも重要だと認識する。
	Note right of S: トイレの看板の色について固定観念と慣習が衝突する事例も引き、ユニバーサルデザインの実現の難しさにも言及する。生徒の海外FW先で起こりうる問題にも言及する。

Note left of T: 総括(5分)
	T->>S: デザインには相手がいて、相手に伝えることが目的であることを復習する。
	T->>S: デザインは、伝える相手を意識して論理的に決めるものだということを復習する。
	T->>S: 宿題の説明をする。カメラの使い方を説明する。
	Note right of S: 宿題に取り組むにあたり、日頃からデザインを批判的に見ることが重要だと伝える。
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