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著作権(2時間)

単元: 社会と情報「情報安全 7.著作権 8.著作物の利用」(p.74-79)

本時の位置づけ

教材観

著作権法は特許法と並ぶ知的財産法の中心となる法律であり、生徒が社会生活を送る上で最も身近な法律の一つである。 著作者と著作物の利用者の間のtrade-off関係の平衡点としての著作権法は、時代の変化に対して鋭敏に改正を重ねて複雑化し、生徒も敬遠しがちである。 しかしその条文には先人の努力の跡を垣間見ることができ、人類の叡智の極致ともいえる血の通った法律である。 社会の変化に即応して改正を続ける著作権法の意義を適切に理解することで、現代を生き抜く上での学び続けることの必要性を生徒に認識させることができる。 従って著作権法は、情報化社会・法治社会の底流を理解する点で最適な教材である。

生徒観

西京高校の1年生は全体的にコミュニケーション能力が高く、他校と比べても学力的に秀でているといえる。 また、協働学習に対して主体的・積極的に取り組む姿勢も多くの生徒で見られる。 著作権や知的財産に関しては、中学校での授業の実施度合い・定着度合いに生徒間で大きな差があるため、著作権を中学校で学んだ生徒も、今回初めて学ぶ生徒もいる。 著作権に関わる問題は身近だが複雑なものがあるため、これを課題を協働学習の課題とすることで、いずれの生徒も意欲的に取り組めると考えられる。

本時の目標

  • 著作者の権利の保護と著作物の公正な利用の間の対立関係を理解し、著作権とその利用に対する正しい認識を持つ。
  • 時代と共に著作権の範囲や知財関係の法律が変化することを理解し、最新の法律を主体的に学ぶ重要性を認識する。

指導計画

1時限目

sequenceDiagram
	participant T
	participant S
	participant PC

Note left of T: 導入(5分)
	T->>S: 授業資料を各自のタブレットへコピーさせる
	Note right of S: タブレットの準備状況に配慮する。コピーに要する時間で導入の説明を行う

Note left of T: 展開(5分)
	T->>S: 法律の読み方を確認する
	S-->>T: 「著作権法条文.docx」を俯瞰しつつ、法律が目的や定義、多数の条文から構成されることを認識する
	T->>S: 時代に伴い変化する著作権法に追従する必要性を伝え、著作権法を直接読む必要性を共有する
	Note right of S: 条文の読解が早い生徒と遅い生徒の差に留意する

Note left of T: 展開(10分)
	T->>S: 著作権法の目的が著作者と利用者の平衡をとり、文化の発展に寄与することだと理解させる(第1条)

Note left of T: 展開(15分)
	T->>S: 次の著作権法の用語を理解させる(第2条)。著作物・著作者・自動公衆送信・送信可能化
	S-->>T: 著作物の定義(第2条)の「思想又は感情」を「表現」したものという部分を、著作物でないものと比べて理解する
	S->>T: 著作権法に違反するか判断する問題に対し、現在の認識を回答する
	Note right of S: 演習は短時間で切り上げ、あくまで直感で回答させる

Note left of T: 展開(15分)
	S-->>T: 著作権が「著作者人格権」「著作権」からなることを認識する(第17条)
	T->>S: 人格権には「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」があることを理解させる(第18-20条)
	T->>S: 財産権には「複製権(copyright)」「公衆送信権」「翻案権」(翻訳や小説の映画化を含む)などがあることを理解させる(第21-27条)
	Note right of S: 「公開しない権利」「変名・匿名で表示する権利」も伝える。同一性保持権は具体例(法政大論文懸賞事件)も交える。実演家にも同様の権利がある(第90条の2,3)ことを伝える
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2時限目

sequenceDiagram
	participant T
	participant S
	participant G

Note left of T: 展開(15分)
	T->>S: 著作権の権利制限について説明する。
	S-->>T: 私的使用目的での複製(第30条)が可能なこと、例外があることを理解する。
	T->>S: 引用という形での利用(第32条)が可能であることを理解する。
	S-->>T: 引用要件を理解し、正しい方法で引用できるようになる。
	T->>S: 非営利で料金を徴収しない場合は上演などが可能(第38条)であると伝える。
	Note right of S: 私的使用については、DRMの妥当性などに触れつつ詳細に伝える。

Note left of T: 展開(5分)
	T->>S: 著作権の保護期間(第51-54条)について認識させる。
	S->>S: 映画の著作物のみ保護期間が長い理由を考える。
	Note right of S: ディズニーとTPP交渉にも触れる。

Note left of T: 展開(15分)
	T->>S: 生徒を4名程度のグループに分ける。
	S->>G: 先に個人で取り組んだ問題に対し、条文や知識を基に協働で演習する。
	Note right of S: 演習は紹介した条文以外を読む問題、実際には判例に頼る問題、これから判決が出る問題など、より現実的な問題も含む。

Note left of T: 展開(10分)
	S-->>T: 差止請求権を理解する(第112条)。
	T->>S: 著作権法に違反したときの罰則(第119条)を理解させる。
	S->>S: 著作権法違反が親告罪である理由(第123条)を考える。
	Note right of S: コピーバンドや同人誌の正当性にも触れる。

Note left of T: 総括(5分)
	T->>S: 著作権法が、著作者と利用者を平衡させて文化の発展に寄与することを目的とすることを復習する。
	T->>S: 時代に応じて変化する著作権法に追従していく重要さを確認する。
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